もし、抽象的な信仰が、一片の現実の土地を故郷にするとしたら、チベットは最も適宜なところでしょう。ひろびろとしていて、ひっそりとした原野、澄み切った青空、高く険しい、つつしみ深く穏やかな雪山、奥深い広 大な湖、確か人類の荘巌的な真情の昇華する、理想的なところと思われる。

チベット、アジア大陸中心、中国西南辺境に位置し、面積は120万平方km、平均的な標高は4,000m以上、人口はわずか280万人、世界の中で最も人口密度の低いところである。ここは、神秘的な土地、数億万の信者たちが「聖なる魂の存在する」世界の中心と尊崇している。大昔から、神奇な色彩が満ちるヒマラヤ山脈;何億万年絶え間なく跳ね上がるヤルンツァンポ川;心におびえる世界の屋根の上の屋根──アリ‥‥‥人々が敬虔な(ひれ伏にして)祈りを捧げないものはない。

真っ白な雪と深淵なる波の光の暗示から、山と湖の間にあるお寺から漂ってくる読経の声から、われわれは自然の神々と哲人智者の教え導きから──悟った。雄大ないにしえのグゲ王朝遺跡の前に、過ぎ去った時の流れが、ゆるやかにうずまいてくる‥‥‥

チベット──

道のり峻険(苦しい)の故に冒険者たちの憧れとなり;湖の光、山の色の故に観光者たちをうっとりさせ;数多く豊かな遺跡の故に学者たちが探し求め;神霊のある故に參拝者たちの信仰心の極致となる。

―――チベットカム山岳研究会・最終更新日:2015年1月1日―――
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