Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

現地からのたより

チベットにチベット式の小学校を」土地の材料と人の手による石積み建築

  鈴木晋作

 標高4300m超のチベット高原に広がる草原、遊牧民の地で小学校の第二期建設がこの4月から始まる。場所は中国の西南地方、四川省甘孜チベット族自治州理塘県(リタン)曲登郷。

チベット自治区の一部・青海省・四川省などを含む東チベット地域をカムと呼ぶ。行政府のあるリタン(面積1万4千kF、人口5万人、94%がチベット族)へは、三国志とパンダ基地(本場のパンダはとても活動的!)が有名な省都の成都からも650km、バスで2日かかるまさに辺境である。小学校の建つ曲登郷は、リタンからさらに100余km北西へ入った自然環境の厳しく美しいところであり、カムの中でも有数の広大な草原で遊牧民の生活が変わらず営まれている。空気は薄く、夏は短く冬は長く気温も低い。郷の面積は1476kF、人口は2500名弱、小学校適齢児童は300名程度。現在第一期建設によってできた教室1棟(3教室、2事務室兼教師居室)・学生宿舎1棟(3部屋30人)で4名の教師と60余名の子供たちの、学びの社となっている。2003年9月末に基金会会員と学生からなる我々調査団が小学校を訪れた。突然の参観に驚き照れながらも、イキイキと学ぶ子供たちの姿を見ることができた。

今回我々が提案したのは、土地の材料を使い、なるべく地元の人々と石積みのチベット式の建築方法で小学校を建てること。電気設備のない郷に天窓のある教室を造り、内部を明るく照らすこと。柱で支える内部構造、天空光を照らし当てる壁の仕上げ、屋上の左官仕上げなどを日本の技術も採り入れつつ、現在模索中である。その経験が後々、地元の人々による自力建設の際に役立てば、願ったり叶ったりである。

夏のリタン、小さな花に覆われた大草原では、年に一度の競馬祭が行なわれる。競馬祭にあわせ各地から集まった、精悍な騎手たち「康巴漢子」(カムパハンツィ)と東チベット独特の民族衣装を身に着けた女性たちがこの時とばかりその勇猛さ、美しさを披露する。競馬祭は毎年8月1日から一週間程度続き、さまざまな演目が用意される。また競馬祭は、遊牧民の人たちにとって物品・情報の交易の場も兼ねてもいる。

当地は辺境であり、連絡が行き届かない。資金援助のみならず建設に積極的に関わりたい。それにあたって、筆者が4月中旬から9月の開校まで当地に滞在することになる。今回は、同じ敷地の中で建設活動と同時に教育活動も行われている特殊な状況である。それを活かし現場作業・協力、日本への連絡・報告、政府との交渉はもとより、共同生活を通して暮らしの文化・集落・子供たちの記録も残したいと考えている。当地の訪問も大歓迎である。当基金会でも6月と9月に小学校を訪問する交流の旅を計画している。それは東側から押し寄せる都市の人・物の流れに巻きこまれる現地の人々にとっても自分達の環境を再認識する良い機会でもある。

去る3月12日から17日まで神楽坂のあゆみギャラリーで大岩昭之氏の写真展が行われ、小学校建設の紹介パネルと生活具の展示をする機会を頂いた。各方面から当地を訪れてみたいとの声が寄せられた。

筆者も子供たちと一緒にチベット語を習い、代わりに日本の遊びや歌を教えたい。子供たちや地元の人には、日本からへんてこりんなゲゲン先生が来たと認識してもらえると幸いである。現実には期待と不安から、さながら新一年生の気持ちである。4月には100人の児童が集まり、教室も宿舎も満員状態になる。9月の全面開校に合わせて教室と宿舎を建設しなければならない。多くの人の参加・訪問、そして建設支援を期待したい。

ゲーサンメド チベット高原初等教育・建設基金会 http://www.gesanmedo.or.jp/  Tel& Fax 042-789-2568

(次回「遊牧民との生活」に続く)  

「左官教室」原稿  第1回      

 
   
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――――BBC世界の屋根探険会 烏里 烏沙 制作・2004年06月10日――――