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彝族の十ヶ月太陽暦と二進法

烏里 烏沙

 

 現代コンピューターに用いられる二進法は彝族の原始的な十ヶ月太陽暦から始まることを知っている方々はすくないだろう。

 二進法の発明者はドイツの哲学家、数学家であるライプニッツ G.W氏で、彼は同時にコンピューターの先駆者でもある。

 かって、イギリス漢学家ジョゼフ・ニ―ダル博士が「多くの資料に基づいて、現代、最も影響力のある西洋の科学者たちのヨーロッパ的な考え方の源へ遡ると、結局、ライプニッツ G.W氏に至る。」と述べたことがある。実は、ライプニッツ G.W氏は『易経』の中の図から啓適を受けたといわれているが、ライプニッツ G.W氏が啓適をうけたというその『易経』の中の図は科学技術の発展にどんな深いつながりがあるのか、それは過去、現在、未来に対してどのような影響を与えるものなのかなど、いくつの疑問がある。

 ところで、現代中国の孔廟に「太極図」といわれる図がまだ見られる。数多くの人々は「太極図」は最初から文王、周公、孔子所伝『易経』に載っていたと思われ、それは儒教と密切な関係を持っていると思われている。しかし、宋の時代以前、孔廟の中には「太極図」という図はなかったし、孔子が伝える経典の中にも「太極図」はない。また、唐の人が編集した『十三経』にも載ってはいなかった。では、この「太極図」は一体どこからきているのであろうか、いろいろ歴史資料を調べた結果、それは朱熹が友人の蔡季に頼んで、四川省の民間人から買ってきたものとわかり、この図は宋代の華山の有名な方士、陳希夷が収蔵していたもので、後漢時代の学者である魏伯陽の『周易参同契』に遡り、文王、周公、孔子所伝の『易経』とはまったくかかわりがないと思われる。

 一方、二進法(中国原名は「加一倍法」或いは「一分為二法」という)は、中国科学技術の歴史上ほとんどの発明が直接、或いは間接的な関係がある。さらに、この二進法はヨーロッパ文明の中に取り入れられ、現代文明がより一層進んだとも言えるだろう。二進法による東西、両文明の掛け橋の役割を果たしたのがライプニッツ G.W氏である。これは中国の「四大発明」や、「シルクロード」よりも遥かに深い意味をもっているともいえるだろう。

 しかし、ジョゼフ・ニ―ダル博士は伏義先天八卦(太極図)の時代は古くないと言われ、それは厳慣的な科学態度を持っているかもしれないが、そして、彼が書いた著書 『中国の科学と文明』の中でも、中国の科学と文明にかなり高い評価を与えているが、中国の少数民族について書き及んでいるところはあまりない。一体、「太極図」の源はどこにあるのだろうか?劉尭漢編『中国分明源頭新探――道家与彜族虎宇宙観』によると:「太極図」の源は長江上流金沙江の下段両側の彜族居住地の山谷間であり、「二進法――伏義先天八卦」即ち、道家思想の源で、陰陽五行家の考えの源でもある。ここは遠い昔、伏義氏の部落の子孫が住んでいる地域である。

 中国では、36という数字はよく使われ、中国の哲学、歴史、地理、医学、経済、軍事、文学などの分野に滲透している。これは彜族太陽暦「1年間10ヶ月、1ヶ月36日」からきているとも言われている。

 しかし、この36という整数が彜族太陽暦の1ヶ月36日からきていることは、中国の旧正統文化観、大漢民族主義観を持っている普通の中国人たちにとっては驚きだろう。というのは、中国では、自らが否定した少数民族固有の貴重なものが他民族によって肯定され、中国固有の貴重なものを日常的に見ておりながら気が付かず、逆に外国人に発見されるという可笑しな現象がある。こういう現象が二度と起らないように自分自身をいましめなければならないと思っている。

 

附:        

彝族十月暦暦譜詳表

 

東方之年  共三百六十五日

 

土公月 第 一 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第 二 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第 三 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

土母月 第 四 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第 五 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第 六 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

銅公月 第 七 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第 八 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第 九 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

銅母月 第 十 節 気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第十一節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第十二節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

水公月 第十三節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第十四節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第十五節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

水母月 第十六節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第十七節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第十八節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

木公月 第十九節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第二十節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第廾一節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

木母月 第廾二節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第廾三節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第廾四節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

火公月 第廾五節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第廾六節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第廾七節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

火母月 第廾八節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第廾九節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

    第卅十節気  虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日 羊日 猿日 鶏日 犬日 豚日 鼠日 牛日

 

過年日 虎日 兎日 龍日 蛇日 馬日


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――――チベットカム山岳研究会・最終更新日:2009年10月15日――――