Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

チベット体験記――参加者レポートその10

 

 NPO法人としての活動一層拡大

烏里 烏沙 

 基金会をたちあげてから一年間半になる、はじめは任意団体のかたちとして、小学校の視察をはじめ、チベット現地体験や、写真展、バザールなどを通して、チベットの文化及び実態を紹介して活躍してきました。会員の皆様のおかげで、青写真がだんだんみえてきた。

 基金会が予定通り今年の四月二六日東京都から特定非営利活動法人として認可され、五月二二日に特定非営利活動法人チベット高原初等教育・建設基金会が正式に設立しました。

定款に明載した通り、基金会は特定非営利活動に係る事業として、次の事業を行う。

 一 チベット高原に小学校を建設及び運営に関する事業

 二 チベット高原を中心とする中国西部少数民族の初等教育に関する資料の収集と調査研究

 三 チベット高原を始めとする中国西部との文化交流と現地体験事業

 四 当地域に適した有能な教師養成の方途研究と関係機関への提言

 五 初等教育を受け得なかった児童・青少年を主対象とする教育の研究と試行

 六 チベット高原の自然・社会環境調査と保護・改善への協力

 七 前号に掲げる事業を遂行するために行う関係機関・団体との連絡・協調

 八 前号に掲げる事業を遂行するために行う必要な資料・著作等情報の発信事業

 九 その他本会の目的を達成するために必要な事業

 事業として二〜九はわりと簡単ですが、一の小学校を建設及び運営に関する事業については、いま基金会にとっては一番大きな難題である。この難題をどういうふうに乗り越えるか、今後の課題でもある。

 先日、基金会に興味を持つ友人の友人がメールを送ってきて、次のようね質問がある。

 「どうして彝族ではなくチベット族の支援をされているのでしょうか?」

 わたくしはチベット族ではないことは事実ですが、彝族、チベット族、漢族はわたくしにとってどちらも親しく感じる。わたくしは雑誌にも「わが故郷チベットに小学校を」の文章を発表したが、正確にいうと、小学校を建設する場所はわたくしの故郷ではない。どうしてあそこに小学校をたてることを選んだか、理由は明確、あそこはもっとも厳しい地域で、これまで勉強する場所がないため、住民たちの多数は文盲であり、子供達は勉強することがもっとも必要である。ある方の質問で

 「小学校は政府が作ってくれないの?」

 それは、たいへんいい質問で、たしかにいまの中国は経済の成長率が世界一高いとは言え、でも、それは一部の地域に限られている、特に、中国西部の厳しい地域は想像以上にまずしくて、現代の急速な変化に取り残されている。中央政府はかなり力いれて、民族地域を支援している。中央政府以外の地域も、一対一の形でチベット自治区を援助している。例をあげると、北京はラサを、上海は林芝、山東省シガツィを援助するなど。新中国が成立して以来の五〇年の間、チベット自治区だけで政府及びほかの省市から、平均毎年十億元の援助を受けている。それはニ〇〇万の住民しかない地域にとっては、おどろくほど巨額な資金となっている。でも、やはり、日本の面積の六倍をもつチベット高原は広いため、支援が全然もらえない厳しい地域がまだまだ残っている。

 私たち基金会が小学校をつくる場所も、支援が全然もらえない厳しい地域の一つである。これまで、小学校建設現場である曲登郷へ二回も視察し、学校を建てることについて、五回に渡り現地の政府及び教育局要員たちと話し合った。特に、今年の七月の小学校視察の旅は、私たち基金会内部の事務局のことで、うまく運営できなかった原因もあったり、向うとの約束したことを実現できなかった。そのことで、私たち基金会が変なグループと思われたのである。もちろん、私たち基金会のことが誤解されてしまったと思う。いまの基金会が一番たいへんな時期なので、わたくしも基金会の役員たちも一所懸命に頑張っている。基金会会員の方々、そして、チベットに小学校をつくることに興味を持っている方々、あなた方のご支援、ご協力と私たちへのご理解を、お願いしたいと思う。

 小学校建設の資本金として、今年の七月に小学校視察の際に、基金会の理事の渡辺千昭先生に皆さんから預かった善意の援助金五十万円を持ってきてもらい、わたくしが小学校建設資金の第一回分として理塘県知事の四郎澤仁(スーラァンツェにェー)氏に直接手渡しをしたのである。基金会のこれまでの会員数は七八名(正式に申請した)で、七八名会員の会費全部充当しても三九万円に過ぎない、五〇万円を持っていくだけでも大変ことかもしれないが、私たちが小学校を建てるのに必要な目標金額の八百万円まではまだまだ遠い。

 会はいま、いろいろ解決しなければならない問題に直面していて、今週も理事会が行なわれた。議案については:

1.会費請求(再請求)について

2.外務省支援金の調査と研究及び郵政省の支援金について

3.会報の発行とホームページの登載

4.会員拡大活動(和光学園祭など)及び基金会を紹介するパフレットの作成について

5.各イベントの責任者の実施について  

6.収益事業の検討について

 私たち基金会は外務省から受ける支援金の条件を満たしていないところもあるので、とりあえず、試してみること。理事会はほかにもいろいろ検討した。

 夏に現地を視察した時、小学校建設について理塘県知事の四郎澤仁氏からいい提案をいただいた、曲登郷に小学校をつくるには約八百万円をかかるが、現在、私たち基金会の状況では、来年まで、それだけの資金を集めるのが厳しいと思われる。提示されたプランは、いま理塘の街の中に教育試験区がつくられている。曲登郷の子供のために教育試験区の一教室と寄宿舎を購入して、曲登郷の子供たちを理塘に呼んできて勉強させる方法も考えられるというのである。それにしても約四百五十万円かかる。基金会の今後の活動としてはどうやっていくか、二つの方法を検討の上、どちらかに絞って目指して、目標として頑張って行きたいと考えている。

 


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――――BBC世界の屋根探険会 烏里 烏沙 制作・2003年3月8日――――