Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

 

 

富士山より500m高い高地
チベットの遊牧地に小学校を
日本からも有志が参加、10月に竣工
鳥里 烏沙

日中友好ゲーサンメド小学校全景

 2002年の夏、はじめて小学校建設予定地曲登郷を訪問した時、1枚の男の子の写真をゲーサンメド第4号(2002年4月25日発行)の第1ページに載せました、その短い説明文に「曲登の子供――基金会の計画では遅くても再来年の9月までに勉強させたい」と書きました。

 小学校建築をスタートする前や、建設途中、いろいろありましたが、ほぼ計画通り、今年の8月に開校式が行なわれた。基金会が立ち上がってずっと関わってきた和光大学名誉教授石原静子先生、和光小学校の校長行田先生をはじめ、現職の教師の方々多数が開校式に出席、現地の教員および子供達ちと交流する中、日本側現職教員による体験授業を行なわれ、10月に学校も完全に完成させました。

 考えてみれば、基金会は2001年に立ち上がり、NPO法人に認可されたのは2年前で、基金会を運営することさえ厳しい情況のなか、規模がけっこう大きいな小学校ができたのは、本当に基金会の会員や、寄付して下さった方々のおかげです、ここでお礼を申し上げたいと思います。

 中国四川省甘孜チベット族自治州に生まれ、厳しい環境で苦学の末、日本で学ぶ機会を得た私は、チベットをはじめとする中国西部の少数民族の生活、文化、風土を日本に紹介する活動をするなかで、2001年に現地を訪れ、当時の県教育局デンツゥツェニン局長から理塘県の教育事情を聞いたところ、小学校のない郷はけっこうありました。自分の子ども時代を再現するような「学校に入れない子どもたち」の姿をそのままにしておけず、チベット高原に小学校をつくろうと考えました。それで、いくつの候補地を教えていただき、候補地の中で一番厳しいところである曲登郷を選びました。

日中友好ゲーサンメド小学校へ行く途中にあった曲登郷の遊牧民たち

 曲登郷は四川省甘孜チベット族自治州理塘県に位置し、成都から西へ750キロ、標高4300mの高地にあり、住民は約2500人、学齢児童は約300人という遊牧地域の就学率はゼロに近い状態です、ここは交通が不便のため、いままで、外の世界との交流がほとんどありませんでした、特に、理塘の街から西へ約90キロ、そのうちの3分の1は悪路で、住民のほとんどがヤクや、ヤギの放牧で生計を立てています。言語、なまりの濃いチベット語です。そこでは、これまで勉強する場所がなっかたため、住民たちの多数は文盲です。私は子供達は勉強することがもっとも重要なことで、あそここそ小学校が必要だ、と強く思いました。

 日本に帰ってきて、さっそく小学校建設の活動を始めました。2002年4月に基金会はNPO法人の認可を受け、建設費の一部として最初の支援金を県に渡し、三つの教室と教師宿舎が建設された。その後、いろいろな出会いの中から活動が広がり、第二期工事は、経済的な支援だけではなく、伝統的な工法、石積みのチベット式建築で建設することを提案しました。 

お兄ちゃんもいもうとも一年生

 去年9月、設計事務所SlTEのメンバーを中心に、学生、基金会会員有志が調査のために現地を訪ね、計画を進めてきました。今春、工事が始まり、会員の鈴木晋作氏が現場に常駐し、ザシ校長と共に建設を進めながら、日本からの参加者を受け入れ、建設と交流を支える大きな役割を果たてくれました。教室棟が上棟した8月、開校式が行なわれ、秋には教室6室と図書室、事務室、教師宿舎6室、倉庫、トイレのほか、生徒宿舎5室、食堂と厨房を備えた約600平方メートルの小学校が完成しました。この小学校の大きな特徴は、チベットの文化を継承するために、チベット独自の建築方式で設計、建設したことと、日本から多くの有志、学生が現地を訪ね、建設に参加しながら、子どもたちとの交流を深めたことです。

 大きな空、広い草原、そして何より、目を輝かせ教科書に向かう子どもたちの姿から、新しい世界に出会うことの驚きと喜びが伝わってきます。参加者の多くは、建築の役割、教育のあり方について考えさせられたのではないだろうか。新たな小学校は、中日友好格桑梅朶(ゲーザンメド)小学と命名された。格桑梅朶は、夏のチベット高原に咲く黄色やピンクの小さい花の総称です。格桑はチベット語で幸せ、梅朶は花です。かわいい子どもたちを意味し、幸せの花とも呼ばれます。わたしたちの基金会は、厳しいチベット高原に住む子どもたちの学ぶ機会を支援し、その未来に夢を育てるのが目的なので、会の略称、会報のタイトルも「ゲーサンメド」と名付けました。

 私は11月の上旬もまた現場へ行ってきました、立派な校舎を見ると、よくやったなと思います。子どもたちが活き活きとしている姿と真面目に楽しく勉強している様子を見て、本当にここで小学校をつくってよかったと思います。しかもチベット独自の建築式の建物です。

 校舎は完成しましたが、わたしたち基金会は、ゲーサンメド小学校の今後を見守り、より良い学校にする手伝いをしたいと考えています。8月の開校式の時、石原先生から開校式に参加した人たちで記念として大きな地球儀をゲーサンメド小学校に贈ったらどうでしょうか、というご提案がありました。この地球儀を見て子どもたちは、きっと様々な思いをめぐらすことでしょう。その中から、地球は丸くて太陽の周りを回っていること、この星にたくさんの人びとがそれぞれの暮らしをしていること、などをしっかり学んでくれると思います。その上で更に、小学校を必要としている次の地域へと、活動の輪を広げていこうと考えています。

学校のなかで遊んでいる子どもたち

 ゲーサンメド小学校の学費は無料ですが、教育費がかなりかかる学校もあります。苦しい中で遣り繰りしてきた親や親戚は、子供の進学によって値上がりする学費や寄宿舎代などが支払えず、上の学校に合格しても進学を断念せざるを得ない子どもも多く、どうしても就学率は低下します。そこで、基金会では、子どもたちの里親になって学びの支援をしていきたいと考えています。

 基金会の定款の第5条の3番目に「チベット高原を始めとする中国西部との文化交流と現地体験事業」が書いてあります。今まで、日本では国内に外国の文化や、風習など数多く紹介してきましたが、逆に、日本人が多分気がつかないかもしれませんが、日本文化を海外に紹介しようとはしていないようです。やはり、日本を知ってもらうためにはもっと海外にアピールするべきではないでしょうか、人間というのは仲良くするためにまず相手を知ることだと思います、基金会も来年の秋からラサや成都を中心とする中国西部で日本文化を紹介する写真展を開催しようと予定しています。

 チベットの諸相に関心がある方、わたしたちの活動にご参加、ご協力下さいませんか。知恵のある人はアドバイスを、生活に余裕のある人は寄付を、自ら体験したい人は現場へ、そしてみんなで子どもたちの未来に幸せの花を咲かせよう! 


BACK

――――BBC世界の屋根探険会 烏里 烏沙 制作・2004年11月11日――――