Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

 

 ・ チ ベ ッ ト の 曼 陀 羅 ・ 

 

 
釈迦十六羅漢二侍者

  

 

曼茶羅の世界──チベット

 曼茶羅の宝庫ともいわれているチベットの曼茶羅はラサを州都とするチベット自治区のみではなく、ネパール、ブータン、ラダックなどチベット仏教がいまも人びとの熱烈な信仰に支えられているヒマラヤ文化圏を含む広義のチベットの意味で使用したいです。この地域は、日本とともに密教が現在も生き続けているため、曼茶羅の造型表現、および表現される内容も非常に幅広く、多岐にわたっています。ヒマラヤの密教の世界に立って、どのような表現形態の曼茶羅が見られるかといえば、

   1壁画の曼茶羅

   2掛軸(タンカ)の曼茶羅

   3木版画の曼茶羅

   4土壇の曼茶羅

   5塑像などによる立体曼茶羅

などのジャンルをあげることができます。

 まず、純白の壁面に描かれる壁画の曼茶羅は、寺院の内部、とくに左右の両壁面を中心に描かれることが多いです。中でも西チベットのラダック地方の古刹アルテ寺院の三層堂、あるいは中央チベットのギャンツェにある仏塔は、壁面が無数の曼茶羅で満たされており、われわれを無限の神秘の世界にいざない、それらの大部分は、金剛界曼茶羅であり、その種類の多さから、チベットではインドの密教をいかに忠実に伝示しているかを確認することができます。第二の、チベット独特の掛軸様の仏画は、一般にタンカと呼ばれます。タンカ(than-ka)とは、言語的には「巻き上げられるもの」を示している。すなわち、タンカという名称が与えられたのは、それが巻き上げられるという形式を強調したためです。タンカが片付けられる時や、旅行に持ち運ばれる時には、実際には規則正しく、常に下から巻き上げられます。タンカを上から巻き納めることは不敬なことであり、一種の神聖への冒漬と考えられています。

タンカには、二、三の異なった目的と用途がある。第一に、主としてラマ僧が各自の守護尊のタンカを前にして、瞑想と礼拝に用いられ。これらの絵を瞑想することによって、かれらが描いた神格を呼び起こすサーダナ(成就法)の必須用具として大きな意味を持つのです。

 第二は、荘厳功徳としてのタンカです。これは、在家の人びとが功徳主となってタンカを自分で書いたり、画師に描かせたりして、寺院に納め、それによって勤行堂等の堂内を荘厳し、その功徳を得ようとするものです。ただ、この種のタンカは、第一類のそれほどは顕著でないです。やはり、在家仏教というよりはラマ仏教といい、チベット仏教の特色を示しているといえるでしょう。

 タンカ使用の目的の第三としては、一般教化に用いられます。大きな町のバザールや寺院の前では、村人や巡礼老を前にしてパドマサンバヴァの生涯や阿弥陀仏の浄土のタンカを見せて、聴衆に歌い教える巡回のラマ僧や俗人がいるというのです。彼らはマニパ(ma-ni-pa)と呼ばれ、タンカを広げながら、時折詩節をもって物語を朗読し、一種の朗唱をしながら教化するのです。このように、タンカはチベット仏教における自利・利他両面に用いられ、大きな役割を果たしているのです。タンカは、主として修行者の瞑想と礼拝に用いられるため、描かれるほとけは、名僧が選んだ守護専(守り仏)が圧倒的に多いです。とはいえ、聖域空間をわれわれの眼前に表わし出す曼茶羅も有力なモチーフであり、優品も少なくないです。第三の木版画の曼茶羅は、タンカの曼茶羅の簡易版と考えられ、版木に起こさせた曼茶羅を刷って多くの人々との需要にあてています。細部の表現が不鮮明になりやすい難点もありますが、同一の版木から多数の曼茶羅をつくることが可能となります。木版画の曼茶羅は、壁画の曼茶羅に比べて大きさに制限があるため、本尊と内輪中の尊格のみを尊形として表現するが、他の春属尊、たとえば賢劫の十六尊や内・外の供養菩薩、ダーキニー遠を描くことは稀です。

 もっとも、最外周に火炎輪、金剛杵輪、蓮華輪で結界することは、壁画のそれと同様です。第四の土壇曼茶羅は、地面に日干しレンガを積み、表面を泥土で固めた上に、色粉で主に象徴曼茶羅を描くものであり、インドの曼茶羅の直輸入です。これこそが最も生きた曼茶羅ですが、修法ののちには惜しげもなく破壊して、その砂を川に流すというのです。近年、日本でもチベット僧を招聰して、数日かけて見事な砂絵曼茶羅を作成し、それにプラスティック剤を混入して半永久化したものが、東京のセゾン美術館、成田山新勝寺、大阪の弁天宗などに所蔵されています。第五の立体曼茶羅は、塑像や金銅仏を配列して三次元的曼茶羅を現出するものです。金銅仏の実例が少ないラダック地方では、鋳像による立体曼茶羅は認められなかったが、塑像の立体曼茶羅を、リンチェン・サンポ系統のコンパを中心に、二、三例認めることができました。また、高野山大学や成田山仏教研究所が現地調査した北部インドのスビティ地方のダボ寺院の金剛界立体曼茶羅も、趣向をこらした立体曼茶羅です。

 

曼陀羅ギャラリー


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――――BBC世界の屋根探険会 烏里 烏沙 制作・2003年10月25日――――