Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

チベット高原物語り・

女神・チョモランマ

 

      世界最高峰チョモランマ  標高8848メートル

 昔むかしのこと、そこは見渡すかぎりの広びろとした大きな海でした。海には巨大な波が逆まき、海岸には見あげるようなマツやスギ、シュロが生えていました。波が海岸に打ちよせ、ザブーン、ザブーンという大きな音をたてていました。海岸はやがて森林になり、そこはいつも雲や霧につつまれていました。森のなかには珍しい草があり、美しい花がさき乱れています。そこにはシカやレイヨウが走りまわり、サイは群れをなしてゆっくりと歩き、湖のほとりで水を飲む。樹のこずえではヒバリやホトトギス、トラツグミがさえずり、しきりに動きまわる。野ウサギは元気いっぱい、草の上を走りまわる。それはそれは、平和で安らかな、絵のような光景でした‥‥‥

 ある日突然、海のなかからでてきたのが、五つの頭をもつ、一匹の巨大な龍でした。その龍は山のような大波を引きおこし、平和な森の樹木や草花をメチャクチャにしてしまいました。そこにいた動物や鳥たちは危機を予感したのでしょう、いっせいに東の方へと逃げさりました。ところがそこでも、樹木は倒され、草花は水びたしになっていました。そこで彼らは、またいっせいに西の方へと移動しましたが、そこは一面の荒れ狂うばかりの大波でした。彼らは疲れきってしまい、どこにも逃げ場がなくなってしまいました‥‥‥

 このときにわかに、海の上の空に五つの彩雲があらわれました。その美しい雲は五人の仙女となり、海辺にやって来ると、無辺の法力により、五つ頭の毒龍を降してしまいました。悪魔の龍が征服されると、海や陸には平和がもどりました。動物や鳥たちは心から感謝の気持ちをこめて、仙女たちの足もとにひざまずき、頂礼をしました。彼女たちは、地上の者たちに別れをつげ、天にもどろうとしました。ところが誰もがしきりに、仙女たちが帰らずに、苦労をしている衆生のために、力を貸してほしいと懇願します。五人の仙女はやむなく慈悲の心により、そこに止まり、衆生とともに太平の日を享受することに同意しました‥‥‥

 五人の仙女が一喝すると、さしもの大海がすぐに退いてしまいました。東の方は緑いっぱいの森となり、西の方は見渡すかぎりの田んぼとなりました。南の方は草花でいっぱいの花園となり、北の方はどこまでも緑の牧場となりました。仙女たちはヒマラヤ山脈の五つ峰に姿を変えました。祥寿仙女の峰、翠顔仙女の峰、貞慧仙女の峰、冠泳仙女の峰、施仁仙女の峰がそれで、チベットの西南部に鎮座しています。彼女たちは新しくできた幸福の楽園をまもっているのです。五つなかでも翠顔仙女の峰がいちばん高いチョモランマ(珠穆朗瑪、エベレスト)であり、いまでも世界の最高峰です。土地の人たちは、“女神の峰”と親しげに呼びかけます。     


BACK

――――世界の屋根探険会 烏里 烏沙 制作・2003年3月8日――――