Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

 

『曲登郷ゲーサンメド小学校の状況報告と奨学金実施に向けた動き』
――小学校建設現場監督担当 鈴木 晋作/2006年5月29日

 

●始めに

私は、2006年5月初旬に理塘を4日間、曲登郷には、その内2日間滞在した。目的は、校舎の事後観察、及び学生奨学金の実施の為の調査である。郷政府幹部3名、教員2名に同行し、現地を訪れた。冬の大雪によって、また最近一斉に増した雪解け水によって道、家畜に大きな被害が出ており、崩壊寸前の橋や、凍死、餓死したヤクを横切って、曲登郷小学校を目指した。なお、県教育局の方針で、冬虫夏草採取によって学生数が激減し、通常授業が困難である為に、中心部を除く県下の全小学校を5月の一ヶ月間、臨時休暇としていた。以下その報告である。

 

一.《校舎の状況報告》

一番心配な建物の外壁にも、凍害による亀裂等は見られず、全般的に良好である。難題であった建設時よりの雨漏りも、2005年10〜11月に現地政府が指揮し、地元民が屋上のビニールシートと保護粘土の補修工事をした。現代的な防水工法に頼らない、土と草によるチベット式建築の屋上は、習慣的に日常点検、年一度の修繕が必要である。

昨年度のゲーサンメド小学校第3期工事によって完成した学生・教師宿舎、食堂とも使用されている。学生宿舎に関しては、多数の寄宿生を受け入れる学校側の体制がまだ整っていない為、一部の部屋が未使用である。

「学生宿舎」

現在18人(男7人、女11人)が2室(1室4ベッドを配置)を使用。鉄製ベッドは、日常使用には耐えるが、子どもが飛んだり跳ねたりするので、歪んでいるものが見られる。学校では、学生に丁寧な扱い方を指導している。

「食堂」

建物、調理設備は通常に使用されている。皿、調理具も足りている。ただ学生が増えたときに、薪にくべる木が不足する。そして、現在の教員体制では、学生の食事の世話までは対応できない。

「グラウンド」

凍害による亀裂がみられる。経過観察が必要、郷政府に責任を持って自己管理の元、県政府に要請し、補修をすることを促した。

二.《郷政府と小学校の主張 2006年5月5日 曲登郷政府にて 聞き取り(※要約:鈴木)》

小学校の校舎(本校舎、宿舎、食堂、グラウンド)が完成し、本当に嬉しく、感謝している。そのことは、地元政府関係者を始め教員、学生、父母の学校関係者はもちろん曲登郷の多くの人々が共有している。

これからは、日本の援助に頼らないで、できるだけ自助努力(地元政府資金および県政府の資金やその他関係企業・個人の資金)で校舎の維持、学校環境の改善を行っていかなければならない。

現在の生活費も、18名分では足りるが、学生数が増加すると、生活費が切り詰められ、十分な食事の提供などの為には、確実に不足する。学費に関しては、周知の通り全学生免除である。修業することが困難な環境であるから、学業を続けることの支援をして欲しい。でなければ、各家庭も安心して子供を寄宿させることができない。理塘県中心部にある遊牧民特別措置校では、前年に感染病等が起こり(多額の医療費の自己負担)、親元に子供呼び戻している。特に心配しているのは、食事と衛生面の健康である。

今年度(2005年9月以降)から、遠隔地の18名の学生は、新しい条件の元で、寄宿生活を行っている。昨年度提供された生活用具も、学生たちの衛生的な生活習慣に大変役立っている。現在は、既存の教員が2名ずつ交代で三度の食事の支度、後片付けを行っている。食費を主とした生活費には、教育局から学生1名当り毎月定額の生活補助費を充てている。曲登までの輸送費等、遠隔地であることの増補が考慮されていない。各学生の家庭では、意識、経済の面から生活費を補うことは難しい。

それに加え、起床時の体操、身支度の世話、夜間の見廻り、休日の補習等も併せると現在の教員人数では、負担が大きい。生活面での教員(生活老師)と一般教員の各1名が必要である。そのことは、近々教育局に要請する。学生が増えることで益々安全に対する配慮(隣接する河など)が必要である。

今学期は、主に冬季の大雪により多くの学生の家庭生活に影響が出ている。今学期は、60名の学生数が学んでおり、漢方薬採取の時期とともに、数が減り、4月27日の休暇開始の時点では、30名近くまで落ち込んだ。

今年度は、理塘県教育局の方針・決定により中心部(高城鎮)の小学校を除く全小学校を4月下旬(28,29日)から1ヶ月間を漢方薬採取のための臨時休暇とした。再開後は、夕方、休日に補講を行う予定である。なお、曲登小学校では、再開後の学生数と補講後の下校時の安全を心配している。

 

 

三.《奨学金を巡る話し合い》

「議題:曲登郷小学校の運営における現在の課題とこれからの改善案」

2006年5月6日 理塘にて     

 

曲登郷政府 書記 ザシ(ヤネハヤホ)

曲登郷ゲーサンメド小学校 教員 ヨントォ(ヤネハオヒヨ驕j

チベット初等教育・建設基金会   鈴木晋作

 

討議.1

《主な案件》

1. 寄宿生の生活費(主に食費、衛生用品)について

2. 生活用具(消耗品)の購入、補充について

3. 医療条件の維持、改善について

4. 電気設備の常設(発電機)について

《案件の討議結果》

1. 生活費は主に、食費である。基本的な、食器等は基金会の援助によって足りている。現在は教育局から割り当てられている定額の寄宿費で足りている。例えば、来期30名の寄宿生が集まったとすると、一人当たり毎月125元の生活費として、毎月1,500元(年間12,000元)程度不足する。その他、炉にくべる薪の調達も教員・学生宿舎を併せると、年に中型トラック2台程(1,000元程度)必要である。

2. 共同生活で衛生的な生活に慣れるのも学習の一つである。宿舎で使われる洗面用具等の内、消耗品はいずれ無くなり、補充しなければならない(2005年8月に50名分一式購入)。学校側で支給するのか、家庭で購入するのかはまだ分からない。

3. 親元を離れた寄宿生を預かる学校側として、日常生活の中で最も心配なことが学生の健康である。これまでは、郷の予算と各家庭での負担および教員の負担で医薬品を賄っている。それも、多くは使用し残りが少ない。緊急に対応すべき項目として、日本人有志の資金によって、2006年度分として2,600中国元が負担された(5月7日)。※内訳:常用薬購入費として1,600元、衛生活動費(病人を送り届ける交通費、衛生医への支援)として1,000元。

4. 生活費と同等に扱うべき案件として検討された。寄宿生活での夜間時の常用、つまり保安管理および補習授業の実施に役立てる。主な使用目的は、教室・宿舎・食堂の照明、外灯、TVなど。安価で丈夫な発電機の購入検討。ディーゼルエンジンと一体型の発電機が考えられる。郷政府と小学校は具体的な製品、価格に関しては調査中である。

 


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――――チベットカム山岳研究同行会 烏里 烏沙 制作・2007年12月15日――――