Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

 

小 学 校 の 建 設 開 始

チベット高原初等教育・建設基金会 理事

SITE・建築家/ 齊藤祐子

小学校建設地――理塘県曲登郷   

 いよいよ四月から小学校の建設が始まります。九月の現地調査から半年、計画は実現へと動き始めます。

現場に常駐する鈴木晋作さんは、秋の調査後も中国にとどまり、二月に帰国しました。その間、政府との数度に渡る打ち合わせ、四川大学で一ヶ月間留学生として中国語を学び、冬の理塘を訪ねて、小学校建設の下地づくりを進めてきました。

 私は一月にチベット自治区ラサに行きました。メンバーは烏里さん、写真家の北田英治さん、そしてチベット出身の王さんの四人です。冬のラサは予想以上に快適な気候でした。張りつめた澄んだ空気。日中は十度から十五度まで気温が上がります。けれど、日が落ちると一気に温度は下がり、明け方は零下十度から十五度。一日の気温差は三十度近くになります。ラサの街から観光客の姿は消え、チベットの様々な地方から巡礼に訪れる遊牧民で何処の寺院も賑わっています。熱心にお参りをする人々で時には身動きが取れなくなるほどです。夜明け前の真っ暗な闇の中、大昭寺門前の冷え切った石畳で、黙々と五体投地を続ける人々の姿には驚かされました。

 ポタラ宮と大昭寺、デブン寺、セラ寺等西チベットの寺院を見て歩きました。主な課題は、屋根の仕上げ、光を取り入れる天窓の形、屋上利用、屋上へ上がる階段の構造を調べることでした。西チベットでは、土塗りや石積みの壁の表面を白、赤銅色、黄土色の土で塗装し、屋根はアルカという粘土のたたきで仕上げています。どの寺院も現在は手入れが行き届いていましたが、反面、チベット式の住居は規模も小さく、中心市街地から離れた地域にひっそりと建ち並んでいました。秋に訪れた東チベットの自然と住居、遊牧地域の完成度の高い生活文化の豊かさをあらためて見直す想いでした。

 寺院の大きな空間では、中心に光を取り入れるために上部のトップサイドライトから採光をとっていますが、廊下や階段ホールなどにも、小さな天窓が作られている例が幾つも見られました。中庭を囲む回廊の屋根にも必ず上ることが出来るようになっています。

 チベット式建築は、住居と寺院、宮殿、要塞など大規模な建築の二種類に分けることができますが、今回計画する小学校はその中間の規模の施設になります。材料、技術、工法は伝統的なチベット式の建築ですが、新しい場所と空間の提案をしています。

 一つは、既存校舎との間に中庭をつくること。植物を育て、小さな子供達の遊び場として使う場所。そして、教室、食堂の天窓の提案です。石積みの壁に囲まれた空間は、開口部から強い光の入る南側と北側では明るさの差が大きいので、天窓から採光する形を検討しました。実現のためには、技術的、コスト的な課題を今後現場で解決していかなければなりません。また、教室の計画は、中心の柱を無くして四本の柱で屋根の架構を組む構造を考えています。

 具体的な計画と交渉は現場が始まってから本格的に始まります。図面、模型等を用意して、現場にのぞみます。建設に向けた設計の作業には、新たなメンバーが加わって、検討を進め、図面を描き、模型をつくってきました。

 四月中旬、鈴木さんが現地に入り、段階的に応援の学生が参加していきます。現場を動かすのは大変な作業ですが、現場から学ぶこともたくさんあります。この小学校の建設を通して、日本から参加するメンバーと共に、現地で教育を受けながら、現場に立ち会うチベットの子供達にとっても自分たちの文化を新鮮な目で見直す大切な機会になることが何より大きな意味を持っていると思います。

 現在の資金は、建築費を支援すると活動のための経費が不足する状況です。小学校建設は大きな目標ですが、そのための活動の支援、建設後の教育支援、そして交流を視野に入れて、今後の活動を展開していくために、よりいっそうのご支援をお願いいたします。

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――――BBC世界の屋根探険会 烏里 烏沙 制作・2004年8月8日――――