Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

 

NPO法人認可とさらなる発展をめざして
――理事長 烏里 烏沙

 

 十一月十八日、基金会のNPO法人に申請のための設立総会が麻生市民館で開催されました。会議は基金会の設立、役員、定款、事業計画、収支予算などについて審議が行われ、裁決の結果、承認されました。

 基金会の名称については「青蔵高原初等教育・建設基金会」の「青蔵高原」はわかりにくいので、「チベット高原」のほうがいいのではないかという提案があり、理事会で検討の結果、「チベット高原初等教育・建設基金会」を採用することとなりました。これは日本国内で使う名称で、中国ではこれまでどおりの「青蔵高原初等教育・建設基金会」の名称を使います。

 役員は、鈴木正子、小林進、渡辺千昭の三氏が理事に、遠藤美穂氏が監事に、相談役は石原静子、野口リンジンの二氏を選出、理事長は、烏里烏沙(李靖)がそれぞれ撰出されました。

 事業計画と収支予算については修正案を、理事会で検討したうえで、会員の皆様に文書にして、お送りしますので、ご意見などありましたら、一月の十日までに基金会事務局にご提案ください。NPO法人に正式に申請するのは来年の一月の十七日です。

 基金会の申請が受理され順調でしたら、来年の五月ごろには、NPO法人として認可されるでしょう。わたしたちがなぜNPO法人化の申請しなければならないかということについて述べてみましょう。

 チベットで小学校つくることは、任意団体もできるし、個人もできます、このあいだ新百合が丘の国際交流会で知りあった人も、内モンゴルで小学校をつくった例もありますし、わたしの知りあい、四川アバチベット自治州から日本にきて、いま大阪で活躍している女性はかつて四川音楽大学の教師で、いろいろチャンスをみて、コンサートをやったり、チベットについて紹介したりしていますが、その活動でためたお金を使って、チベットで五つの小学校をつくった例もあるように、小学校を建設するだけだったら、確かに個人にでもできますが、やはり、それ以上のことをやると、ちゃんとした組織じゃないと、難しいと思います。

 現地の教育機構や、政府要人などと対等対話するには、個人や、任意団体では限界があります。もし、ただの援助をするだけだったら、むこうも喜んで受け取ってくれることでしょう。でも、それだけではわたしたちの教育の理念を現地の実践に組み入れさせるためには認可法人の方がだんぜん有利なのです。そして、財産のことも、任意団体の場合は、持っている財産は団体のものか、個人のものか、曖昧です、NPO法人の場合は、持っている財産や、生まれた利益はすべて公的なもので、明確にしなければなりません。メンバーの募集や、拡大のための活動にもプラス効果があるでしょう。

 これまで基金会にご入会なさった会員の皆様はわたし、あるいは、会員の皆様との関係で、それぞれ会員になっていただいたのです。基金会会員数は六三名、会費及び寄付金は六一万三千四百五十四円です。わたしたちの活動が結実するためにはもっともっと会員数を増やしていく必要があります。そのためにも法人化が急がれるのです。

 社会的な信頼性の高いNPO法人格にして、定款にも明確に書いてありますが、基金会の目標は

 @ チベット高原の一地区(理塘県曲登郷)に小学校を建設する。

 A、チベットを中心とする中国西部少数民族の初等教育に関する資料の収集と調査研究。

 B、チベット現状や固有文化・芸術等を日本に紹介する。

 C、当地域に適した有能な教師養成の方途研究と関係機関への提言。

 D、初等教育を受け得なかった児童・青少年を主対象とする教育の研究と試行。

 E、チベット高原の自然・社会環境調査と保護・改善への協力。

 F、関係機関・団体との連絡・協調及び必要な資料・著作等の刊行。

 G、その他本会の目的を達成するために必要な事業です。

 九月の小学校現地を視察に行く旅は、途中でスケジュールを変更して、わたしも十五年ぶりに故郷の九龍に帰ってきました。その時も、これから九龍の自然環境の保護や、開発について、県政府の関係者たちといろいろ話をしました、こちらもいくつの提言をしました。小学校建設予定地の理塘県も、県の知事と教育以外の自然保護や、観光、経済の開発についていろいろ話し合い、いくつの提言も出しました。

 世界中最後に美しい自然のこっているところ――チベット高原、チベット高原は長江、黄河、瀾滄江(メコン川)、怒江(サルウィン川)の源だけではなく、アジア四大大河である馬泉河(ヤルツァンポ川)、孔雀河(ガンガー)、象泉河(シータ)、獅泉河(インダス)の河源とされています、もし、チベット高原の自然が破壊してしまいましたら、被害をうけるのは中国だけではありません、インド、東南アジア、日本までも被害を及ぼすと思います、だから、チベット高原の美しい自然を保護することはチベット高原に住む人々だけではなくて、われわれひとりひとりの問題でもあるのです。

 話題は変わりますが、わたしが最初、小学校をつくろうと思ったのが、自分の子供時代のたいへんな厳しい生活体験からきているのです。チベットだけではなく、ほかの地域でも学校に入れない子どもたちの姿を目にしてきており、そんな子らの将来を考えたとき、小学校をつくることを考えたのです。

  この三、四年以来、わたしはチベット高原十数回以上回ってきました、いまの気持ちは子供時代故郷にいた時の気持ちとは全然違います、やはり、旅することも一つの勉強と思います、チベットの自然、文化、同じ民族なのに、異なる習慣、風情など旅を通して知りました。

 富士山を知らないは日本人はおそなくいないでしょう。でも、カイラス山を知らないチベット人はけっこういるのです、とくに、カム地方の人たちは。恥ずかしいですが、わたしがカイラスを知ったのは十五年くらい前のことだと思います。カムからアリまで三〇〇〇キロ以上もあるし、交通も不便です、だけど、やはり、教育を受けるチャンスが少ないのだと思います。

 われわれ小学校をつくるところは、学校はまだありませんが、いま、立派なお寺をつくっているところです。もちろんわたしもお寺を建てることには賛成しますが、やはり、伝統的、保守的な考え方はまだひとびとのこころのそこに根強く残っていると思います。

 現地ではどうしても小学校をつくってほしいという要望が強いですが、校舎建設という「ハード」だけでこの活動を終わらせてはいけないと思います。校舎完成後がいよいよ実践の本番です。教育の専門家のご指導も得ながら、現代的、科学的、合理的な教育カリキュラムをつくって続けてやっていかないと、効果が上がらないでしょう、われわれが望んでいるのは真の平和です。今、世界中はあっちこっちに暴動や、テロを起こっていますが、やはり、民族的お互いに尊重しあい、理解し合い、そして、国的に、地域的に貧富の差なくさない限り、平和が見えてこないと思います。われわれ本当の目的も、自分の文化を大切にしながら、つまり、本来のチベットらしいチベットを残される使命を持ちながら、世界にどこへいっても通用する現代の新チベット人を養成していきたいと思っています。そんなことを目標として頑張って行きたいと考えております。皆様のご協力を切にお願いするものです。

 


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――――チベットカム山岳研究同行会 烏里 烏沙 制作・2007年12月15日――――