Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

 

小学校建設予定地を訪ねて

――理事 小林  進

 

 私は9月に四川省理塘県曲登郷に建設する小学校現地視察ツアーに参加することが出来ました。

 県に用意して戴いた車で理塘から川蔵公路を1時間程高原ドライブを楽しんだ後、頭が車の天井にぶつかりそうな悪路を2時間ばかりで目的の場所に到着しました。

 青い空、白い雲、緑の草原、高原をわたる爽やかな風、一旅人にとってはこの地は桃源郷に思われてる。烏里君が小学校建設の場に選んだ理塘県曲登郷である。しかし旅人にとって桃源郷と思われる地も、現実は厳しい所である。標高は最低でも4300メートル、空気は薄く夏は短く冬は長く気温も低い。郷の面積は1476平方キロメートル、人口は2500名弱、7〜12才の小学校適齢児童は298名であるという。住民の多くは遊牧民でありテント生活を送っていたのだが、最近定住生活に切り替え新しい家が建築されて

いた。また、牧畜以外にこれといった産業もなく、冬の寒さによりヤクが死んだりと生活も理塘県の中でも低い方に位置するという。

 私達が曲登郷に行った日は法要が催されており、大勢の老若男女、子供達が草原に集まっていた。どこにこんなに多くの人が住んでいるのかと思うくらいの人の多さであった。皆、坊さんの説法を聴くために何時間もかけてやってきたのだろう。日本人を見るのは初めて人も多いらしく、子供達は近くに寄ってきては写真を撮ってくれとせがんだり、大人達は遠巻きにして私達を見物していた。住んでいる土地が厳しくても、生活が貧しくとも子供達の目が澄んでいること、輝いていることに心が洗われる思いであった。

 昼食後、小学校建設予定地に案内され、建設計画の内容を説明して戴いた。建設場所としては広さや位置等申し分のない所である。問題は資金であり、いかに早く調達出来るかにより建設の時期が決まりそうである。300名近い子供達が学校に行きたくても行けない生活をしていることを考えると一日も早く学校が出来ることを祈りたい。

 私は8月に雲南省迪慶チベット自治州にある巴拉村を訪ねることが出来た。この村は車の入る村から徒歩で20数キロ渓谷を遡り、さらに600メートル程登った標高3000メートルの山の上の戸数10戸、人口100名程の小さな村です。曲登郷と違って高原の村ではなく山の上のにあり、同じような厳しい環境の村です。しかし、曲登郷と違って小さいながらも小学校があり教師も1名いて教えています。同行の者が子供達に野球や相撲、算数などを教えますと、目を輝かせていました。野球の道具などありませんが、手作り

のボールに木の棒をバット代わりに投げたり打ったりと真剣そのものでした。野球も相撲も生まれて初めての経験でしょうが、新しいことへの興味と覚えようとする意欲に満ちあふれていました。

 曲登郷の子供達は学ぶ喜びを知りません。子供達は学ぶ権利を持っています。学校に行ってチベット語は勿論、中国語、英語、出来たら日本語などを学び、算数、理科、社会などを勉強し、余裕のある人は更に高校、大学で学び広い世界を知って欲しい。私が小さい頃、新しい教科書が届くたびに今度はどんなことが学べるのかとわくわくした気持ちを子供達にも味わってもらいたい。

 私は今回の小学校建設現地視察ツアーに参加する前は、単にチベットに小学校が出来たらいいなぁと思っていましたが、8月の巴拉村、9月の曲登郷での体験、理塘県の建設計画、意欲をお聞きし、一日も早く小学校を建設しなくてはならないと考えるようになりました。自分に何が出来るのか、何をしなくてはならないのか、建設基金会の皆様の知恵をお借りして活動したいと思っています。

 


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――――チベットカム山岳研究同行会 烏里 烏沙 制作・2007年12月15日――――