康巴漢子(カム地方の男
 

 

カム、知られざる秘境

 

 今日では、地図の上ではもはや何も秘密は存在しない」と、こんな言葉を鸚鵡(オウム)のように繰り返している不勉強な者たちがいる。しかし、だれがチベット全域、あるいは遥か僻遠の地、中国西部・チベット辺境のすべてに精通しているだろうか。経文を唱えながら暮らしている土着の種族にしても、自分たちが住む寒風吹きすさぶ荒涼たる谷の外の世界は知らない」、これはアメリカの植物採集家ジョセフ・ロックがカムについて諮った言葉である。

 カムを語る前に、まず、チベットについて説明してみよう。

 チベットは単にチベット自治区ではなく、チベット族が住む地域と理解するほうが適当と思う、中国境内のチベット地域は、中部ウー・ツァン(中央チベット)、西部ンガリ、東南はコンボ(コンポ地区の西部はウー・ツァン地区に、東部はカム地方にいれることもある)、東はカム、東北部はアムドの5つの地区からなっている。カムは、チベット語「Kham」から来ている。昔から「喀木」ともいう、四川盆地より西にあり、地形は起伏が激しい事が特徴。海抜 5,000 メートルから 7,000 メートルに達するゴツゴツした山脈が北西から南東へと平行に走り、その間に人々の住む谷間がある。メコン川、揚子江、雅江とサルウィン川を含む多数の大河の上流が、カムの中を流れる。

 まえ述べた通り、カムは、漢字で書くと「康区」、あるいは「康巴地区」となる。面積はおよそ50万kFで、文化的、地域的の概念ははっきりしているが、20世紀前半、西康省、川辺特別地区、新中国に入ってからの短いあいだに、酉康省チベット族自治区もあったが、いまここは行政的に一地域としては存在しない。

 中国では、1980年代に入り、登山が外国隊に解禁され、ヒマラヤ、天山、崑崙山脈などの未踏峰が次々に登られてきている。しかし、地図上に表していないこの広大な地域に空白部としてまだたくさん残されている。地理的にいうと、この辺は、ヒマラヤ東端のナムチャバルフから東南チベット、雲南、四川にかけて圧縮されて歪んだ地勢のなかを、数条の大河が南流し、山脈が縦に連なっている、その東に展開する「横断山脈」と呼ばれる広大な山城がカム地方の大半を占め、八つの大河、揚戸江(長江)、メコン(瀾滄江)、大渡河、岷江、雅聾江、サルウィン(怒江)、イラワジ、プラマプトラの支流、、上流、あるいは源流部がロヒトから揚子江上流の金沙江まで、たがいに20数キロから30数キロの間隔で接して南に流れ、天峻の要塞を形成している。

 成都からラサまでの飛行機に乗る時、窓から俯瞰すると、「山原」と呼ばれている霊峰と奥深い渓谷を目の前に展開し、広大な面積をもつ雄大な山々がここ以外世界のどこもないだろう。

 雲南の廸慶チベット族自治州以南はカム地方の範囲に入れないが、北では横断山脈とすこし離れる青海省玉樹チベット族自治州と果洛チベット族自治州の一部、さらにチベット自治区の那的地区の南部の嘉黎・比如周辺もカムの管轄する範囲で、それらの地域も高い山、峡谷、盆地、高原、台地などの複雑な地形を呈している。高い山に広大な面積の森林土と湿原士が分布しており、主に高山湿原土で、海抜3,000〜4,700m以上の高山森林地帯に分布している。

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―――チベットカム山岳研究同好会・最終更新日:2009年2月26日―――